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荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<47>たけしさんとオレ、似たところがあるんだよね…出会いは「オレたちひょうきん族」

公開日: 更新日:

ビートたけしさん(1)

 たけしさんとオレ、似たところがあるんだよね。たけしさん、何度も番組に呼んでくれたり、撮らせてもらったりしてるんだよ。

 最初に会ったのは、もう40年ぐらい前かなぁ。「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系列で放送されていたお笑いバラエティ番組)にオレがゲスト出演したとき(1982年)。そのときはね、一緒に写真を撮ってるけど、あまり話はできなかったんだよ。たけしとさんま、番組も元気でさ、現場もおもしろかったね。

 たけしさんの番組に呼ばれて行って、控え室で二人きりになると照れちゃってさ。たけし軍団とかがいるときは、ものすごく賑やかで笑わせているんだけど、みんな本番ちょっと前でいなくなって二人だけになると、お互いに何にもしゃべることないんだよ、照れちゃって。アハハ(笑)。

「荒木さんとこは川のこっち側だろ、オレんちは川向こうだからさ」

 たけしさんは、わざと自虐的にさ、「荒木さんとこは川のこっち側だろ、オレんちは川向こうだからさ。荒木さんとこはまだ都会に近いけど、オレんとこは荒川渡って川向こうだからね」とか言うんだよね(笑)。オレの撮った「さっちん」の写真を見て、おんなじようなところで育っているから、よくわかるって。オレのところはもっとひどいところだってね(笑)(「さっちん」は第1回太陽賞〔1964年〕を受賞した荒木のデビュー作で、大学4年のときに三河島の戦前からある古いアパートで出会った子供たちを撮影)

■お互いに下町の職人の血、土地の血っていうのがあるよね

 たけしさん、足立区でオレは台東区の三ノ輪の生まれだろ。二人とも下町のはずれで、はずれ同士なんだよね(笑)。「オイラの親父はペンキ屋だし、荒木さんとこは下駄屋職人だろ」とかね。お互いに下町の職人の血、土地の血っていうのがあるよね。

「たけしの誰でもピカソ」(テレビ東京)でもオレの特集をしてくれてさ(2006年放送「写真が人生! 天才アラーキー特集」)。ビョークが録画で出てくれて、オレについて話してくれたんだけどね。それを見て、たけしさんがベネチア・ビエンナーレの映画祭でビョークに会ったときに、「ARAKIを知っているか? 私はARAKIに撮ってもらった」と自慢されたよという話をしてくれたんだ。ビョークはね、オレのロンドンでの展覧会(1994年、ホワイトキューブでの個展)を見てくれて、ファンになったと言ってくれてね。日本に来たときに、ビョークを撮っているんだよね。(ビョークはシンガーソング・ライター、女優。主演した映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』はカンヌ国際映画祭などで多くの賞を受賞。1996年と2003年の来日時にフォト・セッションを行っている。本連載第26回に掲載)

(構成=内田真由美)

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