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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

記憶を語り継ぐ者が亡くなれば、この国がアジアで戦争したことさえ知らなくなりそうだ

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 東京オリンピックが、何を残したというのか。「勇気」をもらいました? こっちはコロナ禍で映画館に行く気力もなくなってしまった。今度の「強制執行五輪」は昔の「国威発揚五輪」と同様、景気を呼ぶための祭りで、懐かしさだけで「ニッポンよ、夢よもう一度」とやっただけだ。結局は、仕事を失い、暮らしが壊れて、これから先、どうしたらいいのかと悩んでる庶民たちが取り残されただけじゃないか。金ばかり使い込み、このツケが社会をさらに苦しめ、犯罪も増えることだろう。おまけにアゴが外れそうになったのは、閉会式が「東京音頭で盆踊り大会」だったとか。どこのどいつの発案なのか。その音頭は謀略で満州国をでっち上げた頃の景気付けの歌だ。いよいよ日本は思考停止だな。踊ってどうするんだ。

 今こそ記憶しなければならないのは、昭和の戦争だ。長崎の原爆式典でスガ首相(写真=代表撮影)はまたテキトーな文句を感情ゼロで朗読した。「……戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の努力を一歩ずつ、着実に前に進めていくことは我が国の変わらぬ使命です」と。世界に向けて何の努力をしてるんだ? 核兵器禁止条約に署名さえしていないのに何が一歩ずつだ。長崎市長が今年もダメ押しで「条約国会議のオブザーバーになって、一日も早く署名し批准することを求めます」と訴える傍らで、今年も首相ははぐらかしていた。アメリカと同盟の杯をかわしていようと“署名します”とアメリカに盾ついてみたらどうだ。経済制裁されるのか。嫌がらせされるのか? 五輪を開くより世界から歓迎されるぞ。「核のない世界を着実に前に……」ってどの口で言ってんだ。被爆者や遺族、国民に恥ずかしくないのか。

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