高給取りの瀬戸大也、桃田賢斗ら五輪惨敗…勝てない選手に広告価値なしスポンサー離れ急加速

公開日: 更新日:

「東京五輪はスポーツとスポンサーの関わりが大きく変わる転機になるでしょう」

 スポーツライターの小林信也氏がこう言った。

【写真】この記事の関連写真を見る(11枚)

 東京五輪で日本は、金メダル27個を含む史上最多の58個のメダルを獲得。柔道や体操、卓球、レスリングなど活躍が期待された競技が多くのメダルを手にした一方で、メダル確実とみられていた有力選手が予想外の惨敗に終わった。

 競泳男子400メートル個人メドレーで金メダル確実とみられていた瀬戸大也(27)をはじめ、バドミントン男子世界ランキング1位の桃田賢斗(26)、開会式の最終聖火ランナーを務めたテニスの大坂なおみ(23)といった面々だ。

■メダル確実とチヤホヤされた

 これらの選手は競技団体やスポンサーからメダル獲得を大いに期待され、多くの収入を得ている。

 女性アスリート史上最高額の年収66億円を稼ぐといわれる大坂は別格として、瀬戸は自身の不貞行為で契約を解除されたものの、それまではANAとの所属契約に加え、味の素のCM出演などで億単位の収入があったとみられる。桃田も今年、所属先のNTT東日本と「プロ契約」を結び、他のスポンサーとの契約が可能になったことで「賞金を加えた年収は5000万円はくだらない」(マネジメント業界関係者)といわれている。前出の小林氏がこう指摘する。

「アドバイザリー契約を結ぶスポーツ用具メーカーは別として、企業が『広告塔』としてスポーツ選手を起用する際に重視するのは勝ち負け。勝てる選手だからこそ支援する価値がある。自国開催のアドバンテージがある中で、瀬戸、桃田というメダルが確実視された選手が負けた事実は重い。米NBCの五輪中継が低視聴率に終わり、五輪とテレビ、スポンサーのあり方は見直されるはずです。スポンサーのアスリート支援も、どの競技のどの選手を対象にするのか、契約金額も含めて適正を慎重に見極める流れになるでしょう」

“費用対効果”が小さかった競技の強化費削減は必至

 有力選手の惨敗は競技団体としても頭が痛い。

 東京五輪は国からの潤沢な強化費がメダルラッシュにつながった。2013年9月の開催決定以降、国のスポーツ強化関連の予算は増加の一途をたどり、ここ数年は毎年100億円超を計上。しかし、来年以降の削減は必至とみられ、日本選手団の尾県貢総監督は早くも「費用対効果」が小さかった競技の強化費削減を示唆している。

 バドミントンはスポーツ庁による強化費分配格付けで最上位の「Sランク」だったが、銅1個に終わったことでランクの格下げもありうる。

 テニスの大坂や錦織はグランドスラムに代表される国際テニス連盟主催のツアーや試合が主戦場。五輪敗退を機に、個人スポンサーが離れることは考えられないが、日本テニス協会としては2人がメダルを取ることで今後の強化費増加につなげたかった。そのアテが外れたわけだ。 

スケートボード躍進で日本スポーツ界に地殻変動が

 水泳やバドミントン、テニスの競技団体は肩を落としたが、「真逆」の結果になったのが今大会から採用されたスケートボードスポーツクライミングといった「アーバンスポーツ」だ。

 中でも、スケートボードはストリート種目で男子・堀米雄斗(22)、女子・西矢椛(13)が金メダルを独占。パーク種目でも女子で四十住さくら(19)が金、開心那(12)が銀を獲得し、開は日本人史上最年少メダリストとなった。

 世界で1000億円産業といわれるスケボーは、野球サッカーとは違い、国内に専用練習場が少ないなどの課題はあるものの、22歳の堀米が億万長者になっているように稼げるスポーツでもある。すでに、メダリストの広告起用を検討する企業もあるという。関大名誉教授の宮本勝浩氏(理論経済学)がこう言う。

「日本でスポーツが盛り上がるのは、やはり日本人が五輪でメダルを取るかどうか。日本人が活躍することで国民の関心度、注目度が高まり、スポンサーがつく流れになると思います。スケボーなどは3年後のパリ五輪を含め、国際大会でも優勝争いが期待できる。特にスケボーの西矢椛、開心那は10代前半の中学生。お菓子やドリンクとのコラボレーションなんて、ハマりそうですね」

 タクシー会社のMKグループ(京都市)は19年11月、女子パークで4位となった岡本碧優(15)、男子パークの笹岡建介(22)と3年契約を結んだ(契約金、年俸は非公表)。同社経営企画部の東真一氏が言う。

「2020年に創業60周年を迎え、新たなスタートを切るにあたり、両選手の世界に対して立ち向かうストイックな姿勢と世界を目指す姿に共感しました。観光事業や海外展開に力を入れる中で、米国で人気が高いスケートボードの選手をサポートすることで、海外向けのPRになれば、という思いもあります」

 日本人が大活躍した新競技が、スポーツ界に「地殻変動」をもたらすに違いない。 

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状