寂聴さん、安らかに。そしてありがとうございました

公開日: 更新日:

 瀬戸内寂聴さんが11月9日の朝、亡くなった。99歳。生前ご本人は「もういつ逝ってもいい」とおっしゃっていたが実際お亡くなりになるととても寂しく、100まで、いやもっとずーっと生きて欲しかった。10年ぐらい前にも骨折して半年間寝たきりになり、思うように執筆が進まずボヤいていたそうだ。胆のうがんになり高齢なのに手術もして成功したり、そしてまた意欲的に執筆もして最期まで自分らしく生きてカッコよかったと思います。

 私がまだ“オレたちひょうきん族”の頃、時代劇との掛け持ちのスケジュールがきつく、カツラをかぶったりする時に地毛が邪魔になり勢いで丸刈りにしたことがあり、自分では大したことではなかったのに、ワイドショーなどで取り上げられてしまったので、ふざけて「瀬戸内寂聴です」とやったらウケたが、きちんと修行をして出家されているかたに対して不謹慎かと、いつかご本人に会ったら謝ろうと思っていたが、その後他番組の企画で京都の鴨川で初めてお会いしたら「妹みたいに思いましたよ」と言ってくださりうれしかった。

 それからまた何年後かに嵯峨野の寂庵を訪ねると「すべてのことに感謝よ。あなたはいろんな経験をして愛の深い人になったんだから」とありがたいお言葉を頂き、ちゃっかりお茶もお菓子も頂き、そして二戸の青空説法も聴きに行った。腰が痛そうだったのでどうしたのかを聞くと「昨日、鐘を突く時に転んじゃって、鐘を突かずに尻もち付いたの、あはははは」と笑った。青空説法は「とにかく笑うことが大切」というお話で、超満員だった。またある時、長生きの秘訣を聞くと「54歳でセックスしなくなったからじゃないかしら? それから体がわーっと熱くなったりせずずっと平温で来たからだと思うの」と真顔でお答えに。さすが小説家。それまで命を削るようなどんだけ熱い愛を経験されていたのか。そしてふと疑問も湧いた。確か出家は51歳のはず。なかなかやりおるのう。

 最後の1カ月は体調不良で入院されていたようで、そこでは、何か記されたのだろうか。それとも何か語られたのだろうか。もう一度お話ししたかった。寂聴さん、安らかに。そしてありがとうございました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  4. 4

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  5. 5

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  1. 6

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  2. 7

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 8

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも