著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<92>大下さんは喪主の挨拶をする早貴被告の脇に立った

公開日: 更新日:

 私自身はこの怪事件を皆に知ってもらいたい気持ちが強かったので、どうしてもマスコミの力が必要だった。おかしな事件であると報じて欲しかったが、土壇場で金庫番の佐山さんが「マスコミ禁止」にしたので、偶然にも通夜・葬儀の写真を撮影するのは私だけになり、動画はスーさんだけが撮り続けた。

 このような事件の場合、ドラマや小説では犯人が被害者の通夜・葬儀に姿を現すシーンが描かれ、そして現実でもそのようなことが多いので、警察は通夜の参列者に紛れて来るものだと思っていたが、どうやらその気配はないようだったので不思議な気持ちだった。もしかして警察は犯人の目星がついているので、その必要性を感じないのか? そのときはそのように思ったものである。

■寂しい通夜

 寂しい通夜で、50人ぐらいしかいなかったのではなかろうか。

 喪主の挨拶をするために立ち上がって参列席を向いた早貴被告が挨拶をし出すと、脇に大下さんが立った。

「早貴ちゃんひとりだけでは可哀想だと思って、とっさに脇に立ったのよ」

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