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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

東大前刺傷事件で思う 偏差値はロクでもない人間選別飼育システムだ

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 偏差値55だと豚まん大学以上、40ならジャガイモ大学どまりと子供の素養など無関係に、人の未来をコース分けしてしまう、教育じゃない飼育制度の下で日本の若者は去勢同然で生かされてきたように思う。青春の野望など湧きおこるはずないのだ。

 偏差値で人生コースを決められるなどナンセンスだと50年前から言い続けてきた。それが「岸和田少年愚連隊」のテーマだった。70年代から教育はますます数値管理され、ガキどもは親ともども、受験地獄に突き落とされ、友人が敵になり、人を信用できなくなり、孤立し、心が閉じ、成績不振になり、ノイローゼにかかり、体調も崩れ、視界ゼロになり、もとから自分の夢でもなかった医者になれないと落胆し、人も殺して切腹して消えてしまおうとなったのが、先日の、東大前の殺人未遂事件だった。東大卒でも現場で3日も持たない助監督が多いのも偏差値のゆえんだろうが。若い芽を刈り取ってきた、ひどい国だ。

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