エリザベス女王の訃報で英王室の“不都合な真実”も浮彫りに 印象的だった晩年の手の甲のあざ

公開日: 更新日:

印象的だったトラス新首相任命の写真

 要するにこういうことだ。世界の支配構造の表も裏も知り尽くしたベテラン女王には、「開いた」ことよりも「閉じて」おいたことの方が、はるかに多かったはずだ。秘密を抱え続けるというのは、(国家機密に比べれば)大した秘密などないに等しいような庶民でも苦しいのだから、女王の抱えていた重圧は察するに余りある。皆が口をそろえて言う彼女の威厳や包容力は、そういう「覚悟」から発するものでもあっただろう。カラーパレットができあがるのではないかという勢いの毎度の鮮やかな衣装と柔らかな笑顔で、いつもお元気な女王様、という揺らがぬイメージを作り上げた。しかし、いつになく地味なお召し物で、トラス新首相任命の写真に写った女王の手の甲のあざは、実は心身ともに満身創痍であったことの、最初で最後の「ヒント」だったのかもしれない。

 時代の激流の中、伝統ある国家の威容を保ちつつアップデートしていくという難題にあたっては、「秘すれば花」的美学がひとつのサバイバル戦略でもあった。しかし時代は変わる。良くも悪くも、容赦なく「開かれる」=「ばれる」時代になった。「ばらされる専門」だった新国王チャールズ3世は、女王の美学を引き継ぐ器とはあまり思えないが、いかにもそれが今っぽい、というべきなのかもしれない。女王陛下という、世界の大きな「ブラックボックス」がまたひとつ消えた後、大所帯運営はさっそく波乱必至の模様。ハリー王子(サセックス公爵)が暴露本を出そうとしているとか、英連邦では不穏な反動の芽だとか、またスコットランド独立の動きが出るのではないかとか…。"God Save the King."(王に神のご加護がありますよう)と祈るばかりである。

(文=合田典世/京大大学院准教授・西欧文化論)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    「マクドは健康保険と年金に加入できてよかった」 シニアが働き続けるために必要なこととは?

  4. 4

    東京・蒲田の2駅結ぶ蒲蒲線、大田区と地元を取材して分かった実現のハードルと地元の思い

  5. 5

    NHK夏の音楽特番「うたであえたら」は北川景子のMCが見事 カオスと化した近年の紅白はお手本に

  1. 6

    菊池風磨はジャニー喜多川氏の“推薦”もあって慶大総合政策学部に進学 仕事の合間に1日10時間の猛勉強

  2. 7

    KDDIが楽天モバイルへの「ローミング」終了でライバルの“品質低下”を狙い撃つ

  3. 8

    豊昇龍が長期離脱で大の里までピンチ! “ひとり横綱”の重圧で「共倒れ」にならないか

  4. 9

    徳川光圀(1)水戸黄門は全国漫遊などしていない 主に出かけたのは江戸と領地の往復

  5. 10

    永野芽郁がキャバ嬢で「復帰」もM!LKファンやきもき…共演するかもしれない佐野勇斗への“キラー”ぶり警戒