川村元気「百花」が公開中 プロデューサーたちは監督として、どんな映画を作ってきたのか

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話題性と作家性

 これら“バジェットの大きい”話題作を監督したプロデューサーと違い、自分が好きなものを作るという“作家性の強い”プロデューサーもいる。

 鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」(80年)や阪本順治監督の「どついたるねん」(89年)をプロデュースした荒戸源次郎もその一人。内田春菊原作の「ファザーファッカー」(95年)を初監督した彼は、ブルーリボン賞作品賞にも輝いた「赤目四十八瀧心中未遂」(03年)や、生田斗真の初主演作「人間失格」(10年)でさまざまな愛の形を描いてみせた。

 岡本喜八監督夫人で、夫の映画を長年プロデュースした岡本みね子も「ゆずり葉の頃」(15年)で監督デビューしている。八千草薫仲代達矢ら豪華キャストを集め、オリジナル脚本で過去の愛に思いを馳せる老女を描いたこの映画には、夫・喜八には描けない女性監督ならではの視点が見て取れる。「海炭市叙景」(10年)や「かぞくのくに」(12年)をプロデュースした越川道夫も「アレノ」(15年)で監督業に進出。「海辺の生と死」(17年)、「夕陽のあと」(19年)など、ローバジェットだが力のある作品をコンスタントに発表している。

 そこで川村元気だが、原作者でもある彼は菅田将暉原田美枝子ら強力キャストを揃え、記憶が失われていく中でも残る親子の愛を、過去の映画作家のさまざまな技法を取り入れて描いている。いわば“話題性”と“作家性”の両方を狙ったスタンスだが、彼の“プロデューサー的な視点”がどこまで観客に伝わるか。その答えが、もうすぐ出ることになる。

(映画ライター・金澤誠)

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