高血圧の薬で腎臓がんのリスクがアップする?カルシウム拮抗薬で40%増
腎臓がんはがんの中でも早期発見の難しいがんとして知られています。そのため進行した状態で見つかることが多く、その予後も悪いのです。
高血圧は心臓病や脳卒中など多くの病気のリスクとなり、降圧剤による治療はそのリスクを低下させることが実証されています。一方で高血圧は、腎臓がんのリスクとしても知られています。
このことから、高血圧を治療することは、腎臓がんを予防することにつながると推測されるのですが、じつは降圧剤の使用により逆に腎臓がんのリスクが増加している、という気になるデータがあるのです。
今年のイギリスのがん専門誌に掲載された論文によると、これまでに発表された39の臨床データをまとめて解析したところ、高血圧の治療薬を使用している人は、していない人と比較して、腎臓がんになるリスクが有意に増加していました。血圧を下げる薬のうち、特にカルシウム拮抗薬と呼ばれる薬でその影響が強く、その使用により腎臓がんのリスクは40%有意に増加していました。利尿剤と呼ばれる薬も36%、腎臓がんのリスクを増加させていましたが、ACE阻害剤というタイプの薬では、そうした影響は確認できませんでした。
高血圧の治療に大きな健康上のメリットのあることは間違いありませんが、血圧の薬の腎臓に対する影響については、今後検証される必要がありそうです。