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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

ジープ初のマイルドHV! レネゲードe-ハイブリッドに乗る

公開日: 更新日:

ジープ レネゲードe-ハイブリッド(車両価格:¥5,440,000/税込み)

「ここ数年“EVシフトも踊り場”と言われてるけど、ここにも来たか…」

 そう思わされた注目の派生グレードに乗った。6月発売のジープ レネゲードe-ハイブリッドだ。

 レネゲードは2015年から日本に導入されている元祖コンパクトジープで、名前は「反逆者」を意味するが、硬派揃いの同ブランドの中ではデザイン、サイズなど色んな意味で柔軟かつカジュアルだ。

 全長4.2m強と非常に小さく、悪路走破性に優れた4駆モデルもあれば、FFモデルも用意。そもそも開発は今や多国籍軍となった同じステランティスグループ傘下のフィアットと共同で行われ、骨格はフィアット500Xと同じだし、主力エンジンのマルチエア系はフィアット開発。生産もイタリアやブラジル工場でなされている。ただし、4駆へのこだわりだったり、ロードクリアランスに関するスペックはジープアイデンティティーが多分に盛り込まれ、予想以上に本格的だ。

 同時に電動化に関しても実は最先端で、2020年にはジープ車の中でいち早くプラグインハイブリッドモデルのレネゲード4xeが作られた。

 しかし面白いものである種の妥協も早く、今回またジープ初となるマイルドハイブリッドを導入。それもモデル末期とも言える10年目の追加モデルである。それがこのレネゲードe-ハイブリッドだ。

何より大きいのはパワートレインの変更

 外観は自慢の7本スロットグリルがグロスブラックになり、ドアミラーがツヤなしブラックになり、ドアハンドルもブラック化した以外ほぼ変わらない。

 全長は変わらず4.3m弱、全幅1.8m強と扱いやすく、最小回転半径も5.5mとほどほど。ただし、インテリアのインテリジェンス化はますます進み、センターディスプレイは8.4インチから大型10.1インチに拡大、メーターもフルカラーの横長10.25インチと今どきだ。ついでにステアリングホイールデザインも変わった。

 何より大きいのはパワートレインの変更で、131psの1.5ℓ直4ミラーサイクルターボエンジンに、7速DCT方式の48Vマイルドハイブリッドシステムをオン。結果、日本のWLTCモード燃費で17.7km/ℓへとアップ。

 国産SUVと比べてまだまだだが、従来の14km/ℓ台を考えるとなかなか。古典的コンパクト4WDのジムニー ノマド4ATが13.6km/ℓであることを考えると悪くない。ついでに20psモーターとトヨタハイブリッドにも近い0.8kWhバッテリーを備えるため、マイルドハイブリッド車なのに完全なEV走行までできる。

ジープのイメージが変わる出来映え

 試乗中もいきなりモーターのみで静かに発進し、直後にエンジンがかかるEV&HV走行を実現。思った以上にハイブリッドっぽい味わい。

 走りに関しても元々のボディ剛性や静粛性の高さもあって、電動車らしい滑らかさやキレの良さを発揮。ちょっとジープのイメージが変わる出来映えだ。

 さらに、元来の良さだが大人5人が普通に乗れ、ラゲッジ容量も300ℓ半を確保。実用性は十分。正直、価格が500万円台に突入したのは痛いが、ヘタにバッテリーEV化するよりいいかもしれない。

 何よりもコイツをモデル末期の10年目に持ってくるレネゲード。つくづくジープブランドの切り込み隊長なのだと思う。

 気になったらちと試乗してみて欲しい。

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