著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

歌手・蒼一心さん公表の大腸がん…夏は検便が偽陰性になるリスクが2割

公開日: 更新日:

 読者の皆さんはがん検診を受けているでしょうか。歌手の蒼一心さん(42)は血便をキッカケに医療機関を受診したところステージ3の大腸がんと判明。しかし、1年ほど前から突然の腹痛や吐き気、めまいといった症状があり、その前兆を放置したことで診断が遅れたことから、早期検査の重要性を呼びかけているのです。

 蒼さんの呼びかけは異変を感じたらすぐ検査、ということですが、それでは不十分です。皆さんもご存じのように大腸がんを調べる最も簡単な検査はいわゆる検便、便潜血検査で、がん検診ではこれを毎年2回分の便を採取して受けることになっています。蒼さんがもしこの検便を毎年欠かさず受けていれば、1年よりもっと前のタイミングで大腸がんが見つかっていたと思います。

 しかし、この経過から推察すると、残念ながらそうではなかったのでしょう。「血便が出ていなかったら未だ検査もしていないかもしれない」とブログに投稿。今年5月の血便まで検査はまったく受けていなかったことがうかがえます。

 検便が陽性の場合、より精密な検査として大腸内視鏡検査を受けることになりますが、実は心もとない現状です。自治体のがん検診からの精検受診率は7割。ほかのがんは8~9割ですが、下回っています。職場でのがん検診だと、精検受診率はさらに低いのです。

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