日本だと大騒動だが…ヨーロッパでは「王室のスリム化」が潮流になっている

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 これを日本の皇室に例えるなら、秋篠宮家の子供たちが皇位を剥奪されたようなものだから、ヨーロッパでも大きな話題になった。

 9月28日、デンマーク王室のマルグレーテ2世女王が、4人の孫から王子、王女の称号と殿下の敬称を取り消す決定をしたと発表したニュースだ。

 女王には長男であるフレデリック皇太子と、次男のヨアキム王子という男子が2人いる。王位継承第1位の皇太子には、王子、王女、王子、王女と男子2人、女子2人の4人の子供がいて、こちらの称号はそのままだ。取り消されたのは次男の子供たちである。ヨアキム王子には先妻との間に2人の王子がいて、現在のマリー妃との間に王子と王女の2人がいる。称号を取り消されたのはこの4人だ。

 そのうえ、取り消された4人の子供たちの父であるヨアキム王子が、そのことを知ったのが発表の5日前だったようで、受け入れる決意ができないうちに公表されたためか、「子供たちはショックを受けている」と、メディアを通して女王に抗議するなど注目を集めた。結局、こうした抗議を受けた女王は、4人から王室の称号を剥奪したことを謝罪したようだが、4人の称号の取り消しは、「君主制の将来のために」決定したことと述べ、称号剥奪の撤回は否定したと地元メディアが伝えている。

 デンマークの王位は、日本と違って女子も継承できるから、長男フレデリック皇太子の次世代には男女8人の王位継承者がいたことになる。女王は「子供たちの将来にとっても良いことだと思う」とコメントしたそうだが、本音は「王室のスリム化」で、公費がかかりすぎるからだと伝えられる。

■フランスに移住しモデルになっている王子も

 デンマークは人口600万人の国だ。そんな小さな国に8人もの王位継承者がいることは分不相応であり、王室維持にコストをかけることは時代錯誤であるという判断だろう。それに日本の皇族と違い、次男ヨアキム王子は「王室に居場所がない」としてフランスに移住し、子供たちの中にはモデルになっている王子もいるというから、日本では考えられないほど自由だ。王族としてデンマーク国民にどれほど尊敬されているかは不明だが、問題化しなかったのは、海外にいるのなら王位を剥奪しても問題はないと国民は考えたのかもしれない。

 それはともかく、女王は2人の男子に恵まれ、その2人の男子から、それぞれ2人と3人の男子が誕生している。日本と違い、王位継承が非常に安定しているから、次男の子供たちが王室を離脱しても王位継承に心配がないのだろう。

 こうした王室のスリム化は、デンマークだけではない。近年のヨーロッパでは一つの流れになっているようだ。例えば、2019年にはスウェーデン王室も王位継承順位の高い孫2人を残し、5人の孫を王室の一員から外すと発表している。

 もし日本で、皇位継承から遠ざかった三笠宮や高円宮に皇籍離脱を迫ったら大問題になったはずだ。ヨーロッパで「王室のスリム化」が話題になっても問題にならなかったのは、王位継承の権利が男女ともにあることと、これまでも間違いなく王位継承者に恵まれてきたから、将来も王位継承者が不在になる心配がないという判断だろう。

 これはイギリスも同じのようだ。チャールズ新国王も、皇太子時代に王室を整理することを考えていたというから、今後、ヘンリー王子に次いで王室を離脱する王子や王女が出てくるかもしれない。

 さて、では日本の皇室でもスリム化ということはあるのだろうか。 (つづく)


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