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北島純映画評論家

映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹を兼務。政治映画、北欧映画に詳しい。

米アカデミー賞7冠「エブエブ」の衝撃! ハリウッドにおける「アジア系映画時代」の到来

公開日: 更新日:

 マルチバースを猛烈な速度で行き交い、クンフーなど他宇宙での特殊能力を身につけて戦うという荒唐無稽なSF喜劇の物語性を支えるのは「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」や「グリーン・デスティニー」のアクションで名を上げ、「クレイジー・リッチ!」で熟練の演技を見せたミシェル・ヨーの存在感だ。静かな熱量にあふれる彼女の演技は主演女優賞にふさわしい。

 人生の分岐点を振り返り「あの時にああしていたら別の人生になっていた」と後悔し、あるいは想像や感慨にふける。これは古今東西「人の常」で、今に始まる話ではない。

 しかし現代ではそれに加え、インターネットの発達によって「仮想現実化」が進展し、例えばSNSの裏アカウントで本音を呟き、実際以上に盛った「リア充」写真を投稿し悦に入ったりもする。そうしたアイデンティティー(自己同一性)の多元化は、人に自由な選択肢をもたらすように見えて、実は「全てがどうでもいい」(Nothing matters)という虚無の闇をもたらしかねない。

■仮想化された現代における「家族の愛」

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