木久扇師匠に「どうしてうちに来たの?」と聞かれ「家が近いんで」と答えた

公開日: 更新日:

「魔法のカード」と呼ばれたいっ平のカード

 前座名はきく兵衛。木久扇の若い頃のあだ名だったという。

「当時の前座の先輩が、にいがた(現白鳥)、かな文(現橘家文蔵)で、同期が喬太郎、入船亭扇辰と、悪いのと優秀なのが揃ってました。何もできない身としては、やっていけるかなと不安になりましたが、間もなく林家いっ平(現三平)が入ってきて、『よかった』と安心しました(笑)。こいつよりはできると、自信がついたんです」

 どんな落語家でも、前座時代は、飲みに行くにも金がない。

「前座仲間と飲んだ時、誰も金がないとわかったら、いっ平が『僕がカードで払います』と言う。当時の前座は、カードの存在すら知らない。知ってても貧乏だから作れません。そんな時、一番下の前座がカードで払った。それから仲間内で『魔法のカード』と呼ばれ、いっ平に払わせるようになった(笑)。早い話、お金持ちの坊ちゃんにたかったわけです」

 93年、入門3年半で二つ目に昇進。改名するに当たって、木久扇は彦六師匠の彦の字を付けたがったという。

「僕は大師匠の彦六に間に合ってなくて、師匠の『彦六伝』を聴いて知ったくらいでした。熊本県で語り継がれる民話に『彦一ばなし』というのがあるので、彦いちはどうかと言われました」

 彦いちの下の弟子は、たいてい「きく」か「扇」が付く名前で、「彦」は彼だけである。

「いい芸名を付けていただきました。仲間からは『彦さん』と呼ばれています」 =つづく

(聞き手・吉川潮

■SWAクリエイティブツアー公演(27日から30日まで新宿シアタートップス) ※出演=林家彦いち、三遊亭白鳥、春風亭昇太、柳家喬太郎。当日券あり。 

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 2

    愛子さまが8月に伊勢神宮「式年遷宮」視察へ 将来は「祭主」を継ぐ可能性も

  3. 3

    検察組織は落ちるところまで落ちた 東大法卒の「特捜部エース」が“ヒモ”とは…世の中真っ暗闇

  4. 4

    三山凌輝「裏切り愛」でも愛娘・趣里に離婚を勧められない水谷豊&伊藤蘭の悲痛

  5. 5

    眞鍋かをり「愛子天皇待望論」は“陰謀論”発言が波紋…高学歴タレントコメンテーター生き残りの厳しい現状

  1. 6

    「ブルーカラー・ビリオネア」には到底なれない…60代の元ブルーカラーは今無職

  2. 7

    来春の統一地方選の争点は「皇室典範」再改正で決まり 高市内閣支持率急落で野党にも一筋の光明

  3. 8

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  4. 9

    一番驚いているのは自民に入れた有権者 「数の力」をなぜ、こんなバカげたことばかりに使うのか

  5. 10

    今夏の専大松戸の継投策が「エース→2番手」ではなく「2番手→エース」の理由…いざ千葉県大会決勝へ