日テレもTBSも振り回され…「生成AI」が突き付ける“ファクト”の真贋、日本語の壁は壁にあらず

公開日: 更新日:

「生成AI」によるフェイク画像やフェイク動画の話題が続いている。

 TBSは、今月5日に放送した「サンデーモーニング」で、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘について触れ、生成AIによるフェイク画像が世論に影響を与えていると説明した。しかし、その例として使われていた「灰にまみれたパレスチナの子どもたち」などの画像について「2014年以前から海外のネットニュースなどに出回っていた可能性が非常に高い」ことが分かり、「『生成AIが作った』と断定できる根拠はなく、断定した表現は誤りでした」と8日、公式サイトで謝罪した。

 一方、今月初めには、岸田文雄首相がリモート取材に答えている設定で、卑猥な言葉を発しているAI生成したフェイク動画がX(旧ツイッター)上で拡散し騒動に。岸田首相は会見で懸念を表明したが、ロゴを無断で使用された日本テレビも大激怒。「しかるべき対応をしてまいります」との抗議文を公開したところ、投稿者とみられる男性が、<日本テレビさま 岸田総理のAIフェイク動画は全て削除させて頂きましたのでどうか訴訟等は停止してください>などとX上で平謝りするという事態に発展した。

 ワイドショーではこのニュースを一斉に取り上げたが、その一方、「サンデーモーニング」は実在したと思われる画像を生成AIと断定するというミスを犯しており、テレビ局も生成AIに振り回されている印象だ。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏はこう話す。

「フェイク画像やフェイク動画自体は、すでに5年ほど前から問題になっています。紛争や難民問題などの社会問題、プーチン大統領トランプ大統領などの政治家などがターゲットになりやすいのですが、『チャットGPT』の普及によって、より本物と見分けがつかなくなり高度化しています。すでにBBCなどの海外のテレビ局は専門の対策チームをつくり、人力でチェックした上でしか扱わないという動きになっています」

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」