和田秀樹×藤岡藤巻GW特別鼎談(前編)~“思秋期”を語る「スケベは若返りには悪いことじゃない」

公開日: 更新日:

「(高齢者は)恋もしないし、そういう話すら憚られますね」

和田 医者って、上の先生に言われたことは疑わないし、アメリカの医学常識が日本と同じだと思っているんですよ。でも、アメリカ人とは食べ物も違うし体格も違う。日本は男性ホルモンが足りないから、セックスレスの夫婦も多いし、ある年代になったらEDが当たり前になる。日本は“枯れる”ばかりです。

藤岡 恋もしないし、そういう話すら憚られますね。

和田 そこをラジオで覆していきたいと思っています。欧米だとポルノが解禁されているのに日本はいまだにモザイク映像なのはいかがなものか。スウェーデンは69年にポルノを解禁していますが、当時、一番高齢者が多いから、エッチなことも必要だと国が認めました。今回のコロナ騒ぎでも、スウェーデンは高齢者を家に閉じ込めると歩けない人が増えちゃうから集団免疫路線をとったのに、もっと高齢化が進んでいる日本が老人を閉じ込めているという、政治のバカさ加減含めて、スケベなことが若返りのために悪いことじゃない、とラジオを通じてみなさんに伝えたいと思います。

藤岡 同世代の仲間も、若い頃は合コンばっかりやってたのに、「もう店じまいで」って言う。70歳超えて女性に目がいくのは良くない、って“枯れたフリ”するんですよ。

藤巻 「年甲斐もなく」って言葉を使うよね。

和田 年甲斐もなくって、自分で自分を老化させてるんです。実年齢に自分を合わせていく「年齢呪縛」です。免許返納だって、75歳でも元気で運転している人はいるわけで、全員に強制するのはある意味、呪縛です。

藤巻 ジブリの鈴木敏夫さんなんて75歳で僕より元気ですよ。

和田 僕ら精神科医の仕事は“患者さんを楽にさせる”ことだから、そういう呪縛こそ外したい。

藤巻 自分でまだまだ若いんだ、って思っている僕たちにとって、和田先生の本は印籠になります。

藤岡 血圧を下げる降圧剤を飲むとEDになるってことは、医者も枯れさせようとしているってことですよね?

和田 長生きさせる可能性はゼロではないんだけど、「元気」という面ではどうか。たいがい血圧高いほうが元気だし、血糖値も高めのほうが脳に糖が満ちているわけで、アクティブになれる。ひょっとしたら長生きできるかもしれないけど、医者が言った通りにしていると、結果的に枯れる。それってQOLとしてどうなのかという疑問が生じます。

藤岡 生き方の問題ですよね。

和田 長生きできないかもしれないけど“好きに生きる”っていう選択肢もあるはずなんですよ。それこそが尊厳死なんです。

藤巻 ウチの家系はコレステロールが高いんだけどオヤジは何の治療もしないで103歳まで生きたんです。ところがウチの姉は医者の言う通りにコレステロールを下げる薬を20年飲み続けて、この前肝臓がんになった。うちはがん家系でもないのにですよ。まったく和田先生が言うことが符合するんです。

和田 薬で免疫力が下がった可能性はありえますね。

藤岡 藤巻の知識って身の回りのことだけなんですよ。

藤巻 ジブリ映画と同じ、半径5メートル以内で生きてるんで(笑)。でもほとんどの病気が遺伝に関係するともいいますよね。

和田 いっぱい高齢者を見ていると、親が長生きだったら多少いい加減な暮らしをしても長生きしますしね。いい意味でも悪い意味でも遺伝子には勝てない、ただ、遺伝子なりに生きるという選択肢もあります。

藤岡 与えられた中で生きるわけですからね。

和田 楽しむか楽しまないかは選べます。生きていても、うつ病はとてもつらいんだよね、何考えても気分乗らないし。長生きよりも、うつにならないほうがよっぽどいいと僕は思います。

藤岡 そう思ったら高コレステロール食でも楽しい人生のほうがいいですね。 =後編につづく

(構成=岩渕景子/日刊ゲンダイ)

和田秀樹 1960年大阪府生まれ。老齢医学・精神科医。学生時代から塾を起業、受験本を出版するなどマルチタスクで活躍。2022年に出版した「80歳の壁」(幻冬舎)は61万部超えで話題に。

藤岡藤巻 共に1952年、東京都生まれ。74年に小学校からの同級生である藤岡孝章、藤巻直哉らでバンド「まりちゃんズ」を結成してデビュー。2004年、会社員の傍ら藤岡と藤巻の2人で「藤岡藤巻」として活動再開。08年に大橋のぞみとトリオで歌った「崖の上のポニョ」で日本レコード大賞特別賞を受賞。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲