俳優・平岳大さんが語る『SHOGUN 将軍』撮影秘話 人生とリンクする「2匹の招き猫」との出会い

公開日: 更新日:

全身全霊の主演、プロデューサー・真田広之

 そんな状況の中でローマで撮る「THE SWARM/ザ・スウォーム」というドラマの出演が決まって現地に飛びました。ちょうどローマに着いた日だったですね、僕のアメリカのエージェントから電話がかかってきて、「『将軍』、受かったよ」って。僕はコロナで閑散としているローマの街で思わず「やった!」と叫んでいました。

 ハワイに引っ越したのはアメリカで挑戦しようと思ったからです。それがコロナになって仕事がまったくなくなった。日本にいる時から時代劇が好きで、アメリカで日本の役者として挑戦する上では、このドラマに出なかったら来た意味があるのか、という思いがありました。

 だから、ホッとした面もありましたね。その日はたったひとりでワインを飲みながらご飯を食べて、お祝いをしました。

 後でわかったことですが、制作者が気にしていたのは年齢的なことだったようです。虎永と石堂は当初、同年代という設定だったのですが、石堂がちょっと若いのもありかと迷い始めたというのです。制作するのはアメリカの大きなプロダクションですから、若い石堂でいくにはいろんな人を説得しなければならない。それで何度もオーディションをやったということのようです。

 真田さんとご一緒したのは2シーンです。真田さんは出演者としてだけでなく、「将軍」をつくるためにプロデューサーとしても何年も制作に携わって、この作品に全身全霊を傾けていた感じですね。プロデューサーとして、ご自身が出ていらっしゃらない場面でも現場に来て、エキストラの着物を直したり、僕と監督の伝令をやってくださったり。

 僕には励ましや「ここがよかったよ」というポジティブな声はかけてくださったけど、ダメ出し的なことはなかったですね。

 日本の芸能界だと上下とか、横、斜めのヒエラルキーもあるけど、みんなそういうのを取っ払ってやっていた。日本人のスタッフ、役者はプライドをかけてつくっている印象を受けました。

 エミー賞には作品として引っかかるとは思っていました。でも、まさか自分が助演男優賞にノミネートされるとは。ですから、「やった!」というよりは、「僕でいいのかな」っていう感じですね。「将軍」という作品と石堂という役がよかったということだと思います。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった