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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

芸人の在り方を計らずも指し示す バッテリィズ・エースのピュアさ

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 実際、バカ解答を期待されて問題を出されても、わかってしまうときは普通に答えてしまう。相方の寺家が意地悪なことを言って、エースがブチギレるというネタをやった際には、終わった後、舞台袖で感情が入りすぎて泣いていたという。

 だが、そんな愛すべきアホでピュアな部分が漫才ではあまり出ていなかった。そこで寺家が「ピュアなヤツならそう思うか」ということをネタに入れるようにしたら、彼のキャラが生きるようになった。

「基本的に“また、エースがアホなこと言ってるわ”という感じで笑ってくれるんですけど、ときどきハッとさせられたりする。ピュアがゆえに、それがバカにしてた人に刺さったりすることがある」(スポーツニッポン新聞社「スポニチアネックス」24年12月16日)と。

 エースは小学校の頃から前に出て、人を笑わせるのが好きだった。それがそのまま仕事になる職業があると知って、芸人になった。だから養成所に入るまで「漫才」すら、ちゃんと知らなかった。根底にあるのは、ただ目の前の人を笑わせたい、楽しませたいということだけ。

「ネタとかはわからないところも多いんですけど、舞台に立つのはすごいワクワクするんです。笑ってもらえることですごい気持ちが上がるというか。ほんま、それだけやし、それだけでいい」(同前)

 そのピュアさは、芸人の根源的な在り方を計らずも指し示している。

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