著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

ミヤコ蝶々さんは存在そのものが「芸」 客席を自在に泣かせて、笑わせた

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 東京生まれの大阪育ちで、キレのいい東京弁と人なつっこい関西弁を自在に操り、関西にとどまらず喜劇界では「神様」のように崇められているミヤコ蝶々さん。

 1991年に「上方お笑い大賞」(読売テレビ)という番組で、私が秋田実賞を受賞した年、蝶々先生も「20周年記念特別賞」を受賞されていたので楽屋へご挨拶に伺いました。楽屋へお邪魔すると開口一番「おはようさん、なんやねんな?」と“おまえは誰やねん?”という冷たい空気。「秋田実賞? アンタが? 漫才師にしては華がないと思た」とキツい一言。それでも「まぁ座りいな」と椅子を勧めてくれ、「誰の漫才書いてんのん? 人気もんばっかりやんか、芝居も書いてんのん? そうかいな、へえ……」と姿勢を正されて「秋田実先生といえば、私が漫才を教えていただいた大先生です。そんな先生の名前をいただいた賞をもらうんやさかい、おもろい漫才書いてくださいね」と頭を下げてくださいました。

「頑張ります!」とお応えするとキッとにらむように「下品なんあかんで!」とビシッと一言。「若いな~」「33歳です(当時)」「けっこういっとんねや! ハハハッ」と笑いながら「しっかりやってちょうだい!」とあたたかい言葉をかけてくださいました。

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