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増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(28)稀代の写真家が画家に…「俺ほどPhotoshopをいじれる同世代はいない」

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最先端から絶対に降りたくない

加納「そこでもう一枚、元の写真を絵にしていくわけですね。新しいその原画というか、キャンパスにプリントするんです。それに今度アクリルで絵の具を施していく。そういうやり方で絵を描いている。今の絵描きさんってそういうことを全然やるだろうけど。写真撮って、それをキャンバスにプリントして」

増田「難しそうですね」

加納「そうやって絵筆を走らせるっていうことは、おそらく俺だけじゃなくてやってるけど、写真家で俺ぐらいやってる人は見たことないですね」

増田「そもそも80歳をこえる加納さんからPhotoshopという言葉が出ること自体が驚きですね。普通その年齢でやらないですよ」

加納「デジタル分野に触って、クリエイターとして逃げたくないと思っていますね。それをどこまで深められるか挑戦を続けたい」

増田「いや、驚いたな。まったく枯れてない」

加納「それは最先端でいたいですよ。俺にPhotoshopをイジらせたらハンパじゃないですよ、本当に。負けたくない。新しい技術を使ってオリジナルの絵を作る、これが本当に面白いんだ」

増田「すごいバイタリティですね。若いクリエーターたちに聞かせたいですよ。今の子たちは、小説家や漫画家も含め、みんな若くして降りていくから」

加納「もったいないと思うんだよ。現実にあるその技術を使ってみないっていうのは。やっぱり平面に関しては出てくるものはあらゆるものに関わりたい」

増田「普通は、もう懐古臭というか、昔は良かったとか言いつ、60歳ぐらいでみんなそう言ってる。若い人についていけないとか」

加納「俺は絶対に最先端から降りたくない。文句があればやってみろよという感じですよ」

(第29回につづく=火・木曜掲載)

▽かのう・てんめい:1942年、愛知県生まれ。19歳で上京し、広告写真家・杵島隆氏に師事する。その後、フリーの写真家として広告を中心に活躍。69年に開催した個展「FUCK」で一躍脚光を浴びる。グラビア撮影では過激ヌードの巨匠として名を馳せる一方、タレント活動やムツゴロウ王国への移住など写真家の枠を超えたパフォーマンスでも話題に。日宣美賞、APA賞、朝日広告賞、毎日広告賞など受賞多数。

▽ますだ・としなり:1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

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