敵地で孤立した新米兵士の血みどろバトル…「ランド・オブ・バッド」で猛暑をぶっ飛ばせ!
「そうきたか」と膝を叩く結末
それはともかく、本作は一転、二転、三転と物語が小気味よく展開していく。経験の浅いキニーが作戦に参加。歴戦の3兵士につき従い、楽勝かと思ったら、敵陣営に思わぬ波乱が起きる。人道上の観点から見て見ぬふりはできないと想定外のドンパチが始まるという、いかにも「アメリカ人は博愛主義だよ」という筋立てだ。かくしてキニーは無人戦闘機操縦士のリーパーに支援されて敵襲を切り抜ける。
無人戦闘機による味方と敵兵の捕捉と爆撃、ジェット機によるミサイル攻撃。これに筆者の好きな狙撃銃による一撃必殺射撃が加味されている。弾は飛んでくるわ、ミサイルは爆発するわとド派手な映像の連続。かと思えば、キニーが逃げ回る際の敵兵との緊迫場面など見どころ満載だ。惹句の「最前線を、追体験」が表すとおり、リアルな戦闘が波状攻撃で襲ってくる。
本作ではJTAC(統合末端攻撃統制官)という肩書が登場する。このような任務があることを寡聞にして知らなかったため、良い勉強になった。
リーパーとキニーは親子ほど年が離れているが、偶然にも同じ州の出身者。そうしたこともあって、両者に友情が芽生えるというお約束の展開だが、困ったことに本作では上官が口出ししてくる。あれれ、名優ラッセル・クロウの立場はどうなるの?と、キニーの壮絶バトルだけでなく、物語の締めも気にしているうちに「そうきたか」と膝を叩く結末に突入だ。米国の戦闘部隊が必ずしも正義だとは言わないが、猛暑なんだから深く考えずにドンパチを楽しみたい。
それにしてもラッセル・クロウは顔も体も肉がたるんでいる。マッチョ体型のリアム・ヘムズワースとの対比を鮮明にするためにあえて太ったのか、それとも61歳を迎え、体重コントロールを諦めたのだろうか。(配給:AMGエンタテインメント)
(文=森田健司)