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本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

30年近く前…「爆笑問題」には“もっともっと売れていくな”と感じた楽屋でのやリとり

公開日: 更新日:

 そして持ち時間5分の本番。舞台は予想通り大きなウケにはなりませんでしたが、おもしろい、おもしろくない以前に“言葉の壁”も大きかったようでした。

 袖に下りてきた太田君が顔をしかめながら「やっぱり厳しかったですね。どうでした?」と聞くので「お客さんが(言葉の違いに)ちょっととまどったかもしれへんね。けど、爆笑(問題)らしさは出てた思うよ」「そうっすか、また勉強してきます。ありがとうございました」とまた丁寧に頭を下げて舞台を後にする姿から、漫才への真摯な向き合い方に好感を持ちました。

 爆笑問題といえば時事ネタ。私は、もっと深く掘っていけばより風刺の効いたネタになるのに、と考えていましたが、「世相風刺」というよりも、タイムリーなニュース・話題をよりわかりやすくおもしろく聞かせる、つかみとして使っているんだ、ということにだんだんと気づきました。

「とにかくおもしろいことを言いたい」という漫才の原点の気持ちを前面に出しているから、何十年という時が流れてもその時代の若者にも支持をされるのでしょう。時事ネタをつかみにしながら太田君の奇想天外な展開と言葉の選び方、それに田中君の的を射たツッコミが、きわどい素材でも巧みなワードセンスでネタに落とし込んで爆笑問題以外のコンビではネタにできない形をきっちり確立している凄さを感じます。

 私同様と言えばおこがましいですが、本当に漫才が好きなんだろうなぁと思います。機会があればじっくり「漫才」についてしゃべってみたい2人です。

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