放送作家・新野新さんを悼む 初めてラジオ番組に呼ばれてかけられた、ありがたい言葉
先日、関西を中心に活躍した、放送作家でタレントの新野新先生が逝去されました。享年90。
1978年から89年まで続いた深夜ラジオ「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」(ラジオ大阪)は伝説のラジオ番組でした。リスナーは「ぬかる民」と呼ばれ、私も「ぬかる民」として、延々と続く2人の「うだ話」に魅了されたひとりでした。女子高生の「新世界に来てください」というハガキに、鶴瓶さんと新野先生が新世界を訪問。すると2人を一目見ようと5000人もの「ぬかる民」が集まり、大阪府警の機動隊が出動したという、社会現象を起こしました。
私が漫才を量産していた90年代、初めて新野先生のラジオ番組に呼んでいただきました。誰の漫才を書いてるのかと聞かれ「阪神巨人さん、いくよくるよさん、トミーズ君を中心に吉本の方はほとんど書かせていただいてます」と答えると「みんな本多先生、本多さん言うて大事にしてくれるやろ」と笑顔で言われ、「はい、大事にしていただいてます」と答えた瞬間、「それもオモロイのんが書けるうちやで、書けんようになったら、“アンタ誰やねん?”いうぐらい、見向きもされんようになるのがこの世界やから。それは覚悟しとかなアカンで」と真剣な表情でじっと目を見つめられて言われました。