最新回の朝ドラ「ばけばけ」ウラの見所~髙石あかりと池脇千鶴の熱演に唸った。「体を売ってもいいと」に込めた複雑な感情

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コクハク

第7週「オトキサン、ジョチュウ、OK?」#35

【朝ドラのツボ!】

 家族にヘブン(トミー・バストウ)の女中であることが知られてしまったトキ(髙石あかり)。さらに司之介(岡部たかし)、フミ(池脇千鶴)、勘右衛門(小日向文世)に、物乞いとなったタエ(北川景子)の存在も知られてしまった。
 
 トキがタエのことを黙っていたことについて家族が問おうとした矢先、三之丞(板垣李光人)が松野家を訪れる。トキが家族に隠していた秘密がすべて明るみになる。

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【本日のツボ】

「『頂戴致します』でしょ!」
 ※※以下、ネタバレあります※※

 タエさまの変わり果てた姿を見てしまった松野家の人たち。おトキに「言うことはないか」と迫って、事情を聞き出します。

 そこへ、三之丞がやってきて、「使えんかった」とおトキにお金を返します。全部で9円。「1円だけ、のっぴきならない事情で使ってしまったけど、やっぱり自分で稼いだお金でないと」と、三之丞のプライドの高さは母親譲りかもしれません。

「これはおトキが私の父から生前預かっていたお金で…」とお金の出どころを松野家の人びとに説明しますが、その言葉におフミが「違います」と。そして、おトキに「ヘブン先生から貰った20円のうちの10円よね?」と訊ね、「おじ様の名前を借りて嘘をついてはいけんよ」と、本当のことを言うよう促します。

「本当言うと、あの仕事をお引き受けしたのも、うちの借金のためではなく、叔母様のあのお姿を見てしまったからです。ですから、このお金は、どうか、どうか」と三之丞に再び差し出すおトキ。

 おトキの話を聞き、おフミは「そげかね」と呟いてその場から居なくなります。い追いかけるようにやってきたおトキ、「ごめんなさい。…でもおば様のあのお姿を見てしまったら…」とおフミに言い訳します。

「おタエ様のためならラシャメンになってもいいと思った? 生みの親のためなら体を売ってもいいと」と感情的になるおフミ。そこにはおタエへの嫉妬もあるのでしょうか。そんなおトキに「違う、全部違う…みんな家族のためだけん」とおトキ。

母娘2人の熱演

 ふたりのやり取りを聞いていた三之丞。「だけど私は、そのおトキの家族から外して欲しい。私は自分の力で母を救いたい、だから…」とおトキに言いますが、「もうええけん。今そげなこと言ってる場合ではないけん。物乞いだよ、おば様、物乞い! 冬が来たら生きていけないのわかっちょる?」

 おフミ演じる池脇千鶴の迫真の演技に見惚れていたら、おトキの髙石あかりも負けてはいません。母娘2人の熱演にこの日は全部持っていかれた感じです。

 三之丞に、「わたしを見て。自分を捨てたの。自分を捨てて家族のためにラシャメンになろうとしたの。だから自分を捨ててこのお金を貰って」とおトキ。

 今度はおフミが三之丞に、「あ~もう。どっちかね? 貰うの貰わないの? どっちかね? 言っとくけど貰わないっちゅう選択はないけん」と半ば脅しにかかります。

 おフミの迫力に負け(?)「貰います」と言った三之丞に、「『頂戴致します』でしょ!」と、訂正を迫るおフミには吹き出しました。昨日の「抱きたいでしょ!」といい、娘可愛さに思わず言ってしまうおフミの言葉に、これからも要注目です。

 そんなこんなで、おトキは、松野家と雨清水家の両方養うため、ヘブン先生の女中を続けることに。じじ様から何かあった時のためにと護身用の木刀を渡され、それを帯に差してヘブン邸に向かうおトキ。

 最後は刀がなかなか取れないというオチでした。いつも怒っている顔ばかりのヘブン先生が、そんなおトキの姿に「ブシ、ムスメ」とにこやかな笑顔を見せてくれました。終わりよければすべてよし。

(桧山珠美/TVコラムニスト)

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