「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得
独自カラーにこだわる高市首相の国会答弁が無用な軋轢を引き起こしている。集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」をめぐり、台湾有事に言及したものだから、中国が激怒。それにキレた与党が同じ土俵に上がって中国外交官の国外追放を言い出し、対立は日増しにエスカレートしている。落としどころは見えない。
「台湾有事は日本有事」が持論の高市首相は、初めて臨んだ7日の衆院予算委員会で「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだと私は考える」と明言。中国への刺激を避けるため、曖昧にしてきた歴代内閣の公式見解を踏み越えた。
高市答弁に中国側はすぐさま反発。戦狼外交の急先鋒としても知られる薛剣・駐大阪総領事は8日夜、X(旧ツイッター)に〈勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか〉と投稿。9日に外務省や在中国大使館が関係各所に抗議したためか、問題投稿は削除されたが、中国国内では擁護する報道が相次ぐ。
週が明けた10日の衆院予算委で、高市首相は「最悪のケースを想定した答弁だった」「特定のケースを想定したことをこの場で明言することは慎む」と釈明したものの、後の祭り。中国外務省の副報道局長は同日の定例会見で「中国の内政への乱暴な干渉であり、『一つの中国』原則などに対する重大な違反だ」と猛反発。すると、自民が大騒ぎ。11日に外交部会などが急遽集まって「中国が問題解決に向けた努力をしない場合、総領事へのペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)も含む対応を求める」とする非難決議をまとめ、政府に提出。きのう(12日)は連立を組む日本維新の会が続いた。


















