「九頭竜川」大島昌宏著
「九頭竜川」大島昌宏著
昭和23年の福井大地震で両親と祖母を失った愛子は、生き残った祖父・源造の手で厳しく育てられる。源造は、アユの友釣りにかけては九頭竜川流域で随一の腕前と評判の職漁師。しかし寄る年波には勝てず、体力も気力も衰え、最近は漁も芳しくなく、引退の2文字が頭の中で点滅していた。
そんな時、高校3年になった愛子から「おじじに弟子入りして、アユ釣りの漁師になりたい」と告げられる。腕一本の男の世界で、18歳の小娘が激流に立ち込んで剛竿を自在に操り、漁をすることができるのか?
しかし孫娘の意志は固く気迫に押されて首を縦に振る。その日から猛特訓が始まった。
漁師デビュー、釣り大会でライバルと激闘、若き陶芸家との恋……。
立ちはだかる障害を乗り越えながら、明るくたくましく成長する愛子の姿に、戦災や地震、大火で荒廃した戦後の九頭竜川流域の復興の息吹がシンクロする。
(新人物往来社)



















