志茂田景樹さんは「要介護5」の車イス生活に…施設は合わず、自宅で前向きな日々
志茂田景樹さん(直木賞作家/85歳)
1980年に直木賞を受賞し、その後もユーモア推理小説「孔雀警視」シリーズや「戦国の長嶋巨人軍」などの架空戦記小説といった多彩なジャンルでヒットを飛ばし続けた志茂田景樹さん。志茂田さんといえば、作家らしからぬ“過激”な髪色やファッションでテレビのバラエティーでも活躍し、強烈な印象を残したが、近況は──。
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志茂田さんに会ったのは、武蔵野市内の閑静な住宅街に立つ2階建ての立派な自宅。自室の介護ベッドに座って、こう言った。
「2017年に関節リウマチを発症し、1年半後には杖が必要になり、19年には温泉旅館で転倒し腰を圧迫骨折。リウマチが悪化し、車イス生活になりました。要介護度は去年5月に“5”と最も重い状態に。午前と午後に訪問介護や訪問看護を1回ずつ、訪問入浴には週2回来てもらっています」
通院も難しくなり、月2回訪問医に診療に来てもらっているという。
「ベッドから自力で車イスに移ることさえ難しく自宅で生活するのは大変だから、本当は有料老人ホームに入ろうとしたんです。ところが体験入所したら、生活環境が変わったせいか体調を崩し、施設入所は諦めました。住み慣れた家で手厚いサービスを受けさせてもらえて、ありがたいです。ヘアカラーも1カ月半~2カ月に1度、知り合いに来てもらっています」
大変な状態でもオシャレを忘れないのは、志茂田さんらしい。前に置かれたテーブルの上には、スマホとパソコンが。それらを使い、エッセーの依頼原稿や小説の執筆、Xへの投稿を続けているという。
「肩も指も自由に動かせず、両手の可動域は体の前の小さい範囲だけ。首はスマホ首で、これまた自由に動かない。でも、スマホの入力はゆっくりながら何とかできる。去年、老眼が始まったかなあと思いましたが、スマホのこまかい字をメガネなしで読めるんですよ(笑)。書くのは、無理せず1日2時間以内。だから、小説は1日平均500字ほど。それでも毎日続けたので、11月末に長編小説が完成予定です」
テーマは文学新人賞の世界。自身の経験をたっぷり盛り込む。ほか2作の構想もすでにあるというから、その意欲とパワーには仰天だ。
「これまで何冊書いてきたか、自分でも追い切れません。これからも年1冊は出していきたい。読んで『面白かった!』と言われるのが何よりうれしい」


















