数千回も引用された「撤回医学論文」ランキングと概要…あなたの「医学常識」も変えるべき?

公開日: 更新日:

 医学に関する研究成果や臨床経験を科学的にまとめた医学論文。今日の診療で得た知見を明日の診療に生かすための基礎となるものだが、実績欲しさなどの理由でデータの捏造や改ざん、画像の不正操作などが行われ、撤回論文となるケースが後を絶たない。今回は、撤回論文のなかで他のメディアでの引用数が多かった上位8本を挙げ、その影響について病院薬剤師で医療情報の適切な活用を支援する特定非営利活動法人「アヘッドマップ」共同代表の青島周一氏に解説してもらった。

 撤回された科学論文のデータベースである「リトラクション・ウオッチ・データ」から、引用された回数が多い撤回論文のランキング(2025年5月23日時点)を【表】にまとめます。

 1位のジャンらによる論文は、あらゆる細胞のもとになるような万能細胞が、骨の中(骨髄)に存在していることを報告していました。この万能細胞を用いることで、難病(パーキンソン病心筋梗塞、肝硬変、多発性硬化症など)に対する再生医療の実現可能性も示唆されていました。しかし、論文に掲載された図やデータの信頼性が確保できないとして、2024年に撤回されています。撤回によりエビデンスの再評価が必要になりました。とくに幹細胞治療の有効性を示すメタ解析の一部は統計的有意性の変更を強いられるケースもありました。引用していた研究者や企業は信頼性が揺らぎ、自身の論文の信頼性の再確認に追われました。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  2. 2

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  3. 3

    箱根駅伝は「勝者のノウハウ」のある我々が勝つ!出雲の7位から良い流れが作れています

  4. 4

    女子プロレス転向フワちゃんいきなり正念場か…関係者が懸念するタレント時代からの“負の行状”

  5. 5

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    我が専大松戸は来春センバツへ…「入念な準備」が結果的に“横浜撃破”に繋がった

  3. 8

    学歴詐称問題の伊東市長より“東洋大生らしい”フワちゃんの意外な一面…ちゃんと卒業、3カ国語ペラペラ

  4. 9

    村上宗隆、岡本和真、今井達也のお値段は?米スカウト&専門家が下すガチ評価

  5. 10

    自死した元兵庫県議の妻がN党・立花孝志党首を「名誉毀損」の疑いで刑事告訴…今後予想される厳しい捜査の行方