テレビ東京「コーチ」は62歳という年齢を味方につけた唐沢寿明の新境地
今期ドラマにおける思わぬ佳作かもしれない。唐沢寿明主演「コーチ」(テレビ東京系)だ。
主人公の向井光太郎(唐沢)は警視庁人事2課所属の熟年職員。元々は捜査1課で活躍していたが、なぜか外された。背後には捜査1課の相良課長(古田新太)との隠れた確執があるようだ。
そんな向井が都内各署の若手刑事をコーチングして歩く。たとえば、目黒北署の西条(関口メンディー)は偉丈夫だが目立つ。だから尾行や張り込みが苦手だ。対象者に刑事だと知られて落ち込む西条に、向井は「バレているなりのやり方」があると気づかせる。
また「泣き虫刑事」と呼ばれるのが板橋中央署の正木(阿久津仁愛)だ。感情の起伏が激しく、自分でもコントロールができない。向井はその欠点を「特性として利用する」ことを教える。
毎回、向井コーチに刺激されて成長する彼らと、捜査の進展がリンクしていく。第5話では、教えを受けた面々が捜査1課に異動。4係主任の益山(倉科カナ)をリーダーとするチームができた。益山もまた「向井チルドレン」の一人だ。
白髪頭に白ヒゲの唐沢は、今年1月期の「プライベートバンカー」(テレビ朝日系)に続くハマリ役だ。隠者のごとくひょうひょうと若者たちに向き合うが、事件の核心部分は決して見落とさない。62歳という年齢を味方につけた唐沢の「新境地」と言えそうだ。



















