北村有起哉「小さい頃は、神様がいて」日常に潜む感情の揺らぎをすくい上げる
連続ドラマを見る醍醐味は、ある一定期間とはいえ登場人物たちの「人生」に付き合うことだ。彼らに何が起きているのか、これからどうなっていくのかが関心のポイントとなる。その意味で、「小さい頃は、神様がいて」(フジテレビ系)は気になるドラマだ。
小倉渉(北村有起哉)とあん(仲間由紀恵)は2人の子どもを持つ熟年夫婦。ある日、渉はあんから「あと54日で離婚」と宣言されてしまう。彼女が子育てなどで情緒不安定だった頃に交わした、「下の子が20歳になったら離婚する」という約束が生きていたのだ。
当時、「自分は母として生きるだけのために生まれてきたのか」と絶望していた、あん。子どもが大人になった時点で「自分に戻る!」と決めていたと主張する。冷静で決意の固い妻。突然の事態に混乱するばかりの夫。さあ、どうする?
脚本は「最後から二番目の恋」シリーズなどのベテラン、岡田恵和だ。このドラマに派手な演出や急展開はない。日常に潜む感情の揺らぎを丁寧にすくい上げていく。また熟年離婚を夫婦だけの閉じた問題とせず、同じレトロなマンションに住むシニア夫婦(草刈正雄、阿川佐和子)や女性同士のカップル(小野花梨、石井杏奈)と“共有”する仕掛けも効いている。
異なる世代の視点や価値観にも触れながら、夫婦はどんな選択や決断をしていくのか、注目だ。