【シラート】砂漠をさまよう一団が啓示する人類の暗黒
全編に漂う社会不安の予兆
世界には分断の兆しが差し込み、戦車を乗せた軍用トラックが荒野を走行する。不穏な雰囲気の中、ルイスたち一行は思わぬ不幸にからめ捕られる。
彼らはなぜ、ここまで無事だったのか。それは単に幸運だったからにすぎない。現在は混沌とし、その未来は暗い。そう。この作品は砂漠をさまよう一団を通して、人類の危うさを啓示している。
序盤から続く砂嵐の過酷さ、スピーカーから流れる重低音の音律、暗闇を走り抜けるトラックのヘッドライトはそうした社会不安の予兆と考えていい。
本作のオリベル・ラシェ監督はこう語っている。
「新聞を開くたびに、私たちは崩壊の衝撃に襲われます。何かが終わる、ひとつの時代が終わる、あるいはもっとひどいことが……。私たちには準備できているでしょうか? この映画が、多くの人が抱く黄昏の感情に響いてくれることを願っています」
劇中に流れる鉄路の映像がポイント。走行する列車は人類をどこに連れて行こうとしているのか。見終わったとき、筆者は2013年の映画「スノーピアサー」(ポン・ジュノ監督)を思い出してしまった。(配給=トランスフォーマー)
(文=森田健司)



















