カンヌ映画祭で話題 ミステリー時代劇の流れを汲む謎解きの面白さ

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 密室殺人や犯行時刻のトリックなど、これまで時代劇では描くのが難しいと思われたミステリーの手法を取り入れ、荒木村重が事件の概要を調査する刑事役、黒田官兵衛を事件の核心を突く探偵役に据えて、有岡城という限定された空間の中で、城内にいる人々を容疑者に推理劇が展開する。

 それだけでなく、家臣たちから戦に勝つ能力は認められているが、いまひとつ人望がないことに不安を抱えている村重。自分が有岡城から戻らないことで、織田側へ人質に出した息子の命が心配な官兵衛の、時とともに揺れ動く関係性も見どころ。誰が犯人かわからず、家臣たちに疑惑の目を向ける村重は官兵衛の頭脳を頼り、官兵衛は息子の命を危険にさらした村重に、複雑な思いを抱く。事件を解く彼らが心をひとつにしたバディーでないところに面白さがある。

 誰も信じられない村重が、唯一気を許せるのが吉高由里子演じる側室の千代保。献身的に村重を支える彼女は、武家の妻として頼もしく見えるが、過去には壮絶な体験をしてきて、奥行きのあるキャラクターになっている。黒沢監督にインタビューする機会があったが、「吉高さんは演技が的確で、非常にうまい」と言っていて、大河ドラマ光る君へ」(2024年)を経て、演技的に深度が増した彼女の表現に、物語が進むにつれて惹き込まれる人は多いだろう。

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