オードリー若林の小説「青天」は直木賞受賞が“ほぼ確”? 書店界隈があやかる2003年と2015年の販売戦略
「直木賞は遅れてやって来る」というジンクスが
若林さんのノミネートで思い出されるのは、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹さん(46)の『火花』が2015年に芥川賞を受賞した時の熱狂です。純文学はなかなかヒット作が生まれませんが、『火花』はメディアで大々的に取り上げられ、普段は本屋に足を運ばない人まで巻き込んで最終的に200万部以上売れました。文学賞で最も大事なのは文学的な価値ですが、書店員にとっては販促のツール。話題性ありきでも『青天』に取ってほしいのです」
しかし、現実はなかなか厳しい。前出の大手出版社文芸編集部社員は、こう語る。
「直木賞は過去にNEWSの加藤シゲアキやSEKAI NO OWARIのSaori(藤崎彩織)がノミネートされましたが、受賞には至りませんでした。若林もそのパターンの可能性は高いでしょう。
直木賞は、何度もノミネートされながら受賞に手が届かない作家が多いことで知られており、馳星周は7回目、東野圭吾と宮部みゆきは6回目でようやく受賞しました。それゆえ文学界では、名声が確立してから賞が与えられることを皮肉り、『直木賞は遅れてやって来る』とも言われています。
『BUTTER』が海外で高く評価されている柚木麻子は6回ノミネートされながら、いまだに受賞していません。伊坂幸太郎は5回落選を繰り返した末、『静かになりたい』と直木賞レースを降りました。受賞を拒否したのではなく、選考自体を拒否したのです。
その理由として推測されるのが、著名作家による選評の厳しさです。ノミネート時点で超売れっ子だった伊坂に対し、選評委員は『底が浅い』『がっかりした』『失敗作』など、言いたい放題。『半落ち』『クライマーズ・ハイ』で知られる横山秀夫は、物語のカギとなる場面にケチを付けられて強く反発し、訣別宣言しています。そんな歴史がある直木賞の選評委員が、若林に簡単に賞をあげるとは思えません」
ただ、別の見方をする関係者もいる。エンタメ誌記者は言う。
「芥川賞と直木賞が最も大きな話題になったのは、2003年に綿矢りさと金原ひとみが芥川賞をW受賞した時で、両作が掲載された『文藝春秋』は100万部以上売れて、社会現象になりました。今回、芥川賞では元AV女優の鈴木涼美がノミネートされており、若林と鈴木が受賞すればインパクトは絶大。まさに千載一遇のチャンスです。
出版社はどこも青息吐息で、市場はどんどん縮小。もう、なりふり構っている場合ではありません。権威ある賞を若林にあげて批判の声が上がっても、それが取り上げられれば出版業界としては願ったり叶ったり。関係者は若林が取ったという前提で、すでに受賞後の販売戦略に頭を巡らせているのかもしれません」
発表日の7月15日。若林の笑顔が見られるか。
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