稲川淳二さんにボソボソ声で話されると、“聞き逃すまい”と全身を耳にして集中してしまう
観覧席の後ろで、お客さんを見ていましたが、明らかに全身に力が入って、ちょっとした声のトーンの違いにも肩をすぼめたり、振るわせたりしているのがわかります。また稲川さんの間が絶妙で、一息あけたり、逆にたたみかけて話したりすることで、どんどん、お客さんの気持ちを掴んでいくのがわかりました。客席の真後ろに立ってみましたが、気配を感じて気づく人は誰ひとりいないほど、稲川さんのとりこになっていたのでした。
関心を集めるのは声を張るだけではない、これぞ自身の強みを生かした、唯一無二の芸。うまい漫才や落語と同じで、自分の世界に引き込んでしまうテクニックがありました。ライトに浮かび上がった姿は怪談の語り部そのものでした。



















