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増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

萩本欽一〈39〉高校時代の新聞配達もあえて寒い冬にだけやったのには理由があるの

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食堂のバイトも誰もやりたがらない皿洗い

増田「それはそういう信念みたいなものが」

萩本「そうそうそう。やっぱりね、楽な方を選んじゃダメだな。つらい方を選ばないと。冬に雨なんか降っちゃったらしんどいですよ。新聞配達で何がつらいかって、一部でも残っちゃうと、もう一回最初から回らなきゃならない」

増田「どこに入れ忘れたかわからない」

萩本「そう。わかんないんですよ。わかんないから残ってんだよね。だから最初からずーっと回って。そうするともうほんと学校行かなきゃなんないもんね。そのまま家帰って、朝飯を食わずに学校走って。でも、つらい、悲しいなんて思わなかった。運がたまってるんだって思ってたから」

増田「そのときからもう」

萩本「夏休みに食堂でバイトしたときもそうだった。俺、一番つらそうな食器洗い係を選んだ。3人のアルバイト生が来て、主任の女の人がいた。で、3つの仕事があるって言うんだ。皿洗いと配達とあとキャベツを切る係ね。それで3人にどれがしたいか名乗ってって言ったの。そのときに俺ね、こんな小さなことでお互いに不愉快な気持ちになるのは嫌だなと思った。だからこの2人が絶対手を挙げないのどこだろうと思って『はいっ!』と手を挙げて、『俺、皿洗います!』って言った。誰も手を挙げなかったんで、喧嘩しないで済んだ。現に残りの2人は喧嘩してね、帰りに萩本一緒に帰ろうよって2人から言われて、俺すごい悩んだもん」

増田「そういうふうにいろんなものがついてくるんですね」

(つづく=火・木曜公開)

▽はぎもと・きんいち 1941年、東京都生まれ。高校卒業後、浅草での修行を経て、66年にコント55号を結成。故・坂上二郎さんとのコンビで一世を風靡した。その後、タレント、司会者としてテレビ界を席巻し、80年代には週3本の冠番組の視聴率がすべて30%を超え、「視聴率100%男」の異名をとった。社会人野球「茨城ゴールデンゴールズ」の初代監督、2015年には73歳で駒澤大学仏教学部に入学するなど挑戦を続け、25年10月にスタートしたBS日テレ「9階のハギモトさん!」は今年4月からSEASON3に突入した。

▽ますだ・としなり 1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

【連載】増田俊也 口述クロニクル「茶の間を変えたコメディアン 欽ちゃんのぜ~んぶ話しちゃう!」

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