著者のコラム一覧
本郷和人歴史学者

東大卒。藤田医科大学特命教授・同大学リベラルアーツセンター長、元東京大学史料編纂所教授。近著に「インテリジェンス関ヶ原」(文芸新書)。

徳川光圀(1)水戸黄門は全国漫遊などしていない 主に出かけたのは江戸と領地の往復

公開日: 更新日:

「水戸黄門」といえば、助さん(佐々木助三郎)と格さん(渥美格之進)をお供に連れて全国を漫遊し、悪代官を懲らしめる世直し旅の老人、という印象が強いでしょう。

 けれども、これはもちろん後世の物語です。実在の黄門様は、全国漫遊などしていません。出かけた場所も、江戸と領地の水戸の往復が主で、その他は日光、鎌倉、金沢八景、房総、勿来、熱海などに限られ、基本的には関東周辺に限定されます。

 黄門様の名は光圀。「圀」って、他では見かけませんね。ぼくはこの字、「国字」だと思っていました。国字とは日本でつくられた漢字です。有名なのは辻とか峠。意外なのは働とかですね(なるほど、人が動くから働くかあ)。ところが、圀は国字ではない。中国史上で唯一の女帝、武則天(624~705年)が定めた「則天文字」(全部で20字ほどが確認されている)のひとつなのです。いや、このコラム、勉強になりますね。

 光圀は寛永5年、1628年の生まれ。元禄13年、1700年に73歳で没しました。徳川御三家のひとつ、水戸家の当主です。ただし、御三家についても少し注意が必要です。

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