萩本欽一〈39〉高校時代の新聞配達もあえて寒い冬にだけやったのには理由があるの
作家・増田俊也氏による連載、各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。待望の第2弾は、「視聴率100%男」として昭和のテレビ界を席巻したコメディアンの萩本欽一氏です。
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萩本「そう。給与なしだったの。支配人が『おまえなんかできんのか?』って聞くから『いや、何もできません』って。そしたら『できない人はタダ、以上』って」
増田「それがいきなり3000円になった」
萩本「おそらく、掃除のおばちゃんが言ったんだね。『欽ちゃんは偉いよって。朝7時から暗い中を掃除してるわ』って」
増田「努力は1人でと思ったら」
萩本「誰もいないと思って隠れてやってたら、おばちゃんが見てて、それを支配人に言ったんだと思う」
増田「見てくれている人がいるんですね」
萩本「掃除のおばちゃんとかそういう人を大事にすればいいんだって。食事作ってるおじさんとか。学校で無視されたとかのイジメなんかもね、クラスメートと付き合わなきゃいい。学校の掃除のおじさんと仲良くしてごらん。おじちゃん、僕、つらいんだって言ってごらん。そしたら『俺もね、掃除しててつらいんだよ、仲間だよ』って言ってくれるよ」
増田「そうですね」
萩本「元気な先生なんかに言うからわかってくんないんだよ。掃除のおばちゃんとかね。そういう人に言うの。そういう人の方がわかってくれるから」
増田「なるほど。そうですね」
萩本「いじめられてひどい目に遭ったって思ってると、運って来ないんですよ。神様ってひどい目に遭ったって言うと来ないんですよ。泣いたりすると来ない。泣くんじゃなくて、ありがとうって。こんな思いさせてくれてありがとうって思ってると運が来る。だから僕、子供のころのアルバイト、高校生時代、苦にしてないですから。苦学生とは言わないでください。はい」
増田「いろんなバイトをされたんですね、高校時代」
萩本「うん、その頃に運が築けたんじゃないですか。俺、新聞配達もやってたの。やっぱり運になるにはつらい寒い時季だなと思って、あえて真冬にやったんです。ときどき雪降ってひどかったけどね、あんときは」


















