62年ぶり「鬼神のお松」で中村七之助が難役をこなす
第3部は舞踊。前半は中村屋ファミリーで、勘九郎と七之助はひとりで、勘太郎と長三郎は2人で、それぞれ10分前後を舞う。後半は坂東玉三郎の地歌舞が2つ。休憩時間を除くと1時間ちょっとという短さだが、満足度は高い。
玉三郎の舞台は装置も照明も最小限で、ミニマリズムの極致。あの横に広い歌舞伎座の舞台でこれができるのは、玉三郎しかいない。夢幻の世界とはこのことだ。
終わって気づくのは、玉三郎と同じように、たった2人で10分前後を踊って飽きさせなかった、勘太郎と長三郎の見事さだ。2人は普通の芝居でも芸達者なところを見せていたが、舞踊でもここまでできるとは。
新橋演舞場は7月と8月通して、ジブリを原作とした、スーパー歌舞伎「もののけ姫」。市川團子主演を前提とした初の新作で、澤瀉屋のメンバーが完璧なアンサンブルで若い團子を支える。客演のポジションの中村時蔵、中村壱太郎も、自分を見せつつ、團子を引き立てている。それはいいのだが、4代目猿之助の「スーパー歌舞伎Ⅱ」が、なかったことにされているようなのが気になる。「ワンピース」あっての、アニメ・マンガの歌舞伎化のはずなのに。
(作家・中川右介)


















