6月の歌舞伎座は「錦之介特別興行」が復活したかのような座組
古い話だが、1989年まで6月の歌舞伎座は「萬屋錦之介特別興行」と銘打たれて、「歌舞伎」とはされなかったが、彼の親戚の歌舞伎役者も出演していた。今月の歌舞伎座は、その「錦之介特別興行」が復活したかのような座組となり、錦之介の甥たちとその子・孫が勢揃いした。
昼の部では中村時蔵の古典大役シリーズで、「金閣寺」の雪姫に、歌舞伎座では初めて挑む。この世代の女形は競争が激しいが、立て続けに大役を得て、一歩抜け出したか。
圧巻なのは夜の部での、鶴屋南北作「盟三五大切」。8年ぶりの上演で、間があいたのは、勘三郎や三津五郎が亡くなり、やれる役者がいなくなったからだろうが、その次の世代が、この役を掴んだ。
主人公の源五兵衛と三五郎を、尾上松也と中村勘九郎が日替わりで交代しているが、松也の源五兵衛の日を見た。
主役ならずとも役者が花道を引っ込むときは拍手が湧き起こるものだが、大量殺人をした後に松也が引っ込む時、客席は静まりかえっていた。こんなことはめったにない。拍手などできる雰囲気ではなかったのだ。それくらい凄まじい殺しの場面だった。


















