ロケ中の事故で放送中断も吉次弘志社長は「再開」を明言 テレ東がバス旅にこだわる“背に腹は代えられぬ”事情
テレビ東京のドル箱企画ともいえる「バス旅」の放送が、現在ストップしている。キッカケは、2026年2月に行われた『バスVS鉄道乗り継ぎ対決旅』のロケで、出演者の前園真聖が右膝を負傷したことだ。前園は右膝半月板を損傷し、手術とリハビリを余儀なくされた。テレビ東京は事故を受けて検証を進め、当該回については放送の見送りを決定した。
当然ながら、番組の制作はいったん止まった。2026年に入ってから放送されたバス旅シリーズは、1月9日の『路線バスで鬼ごっこ!』が直近の新作となっている。ところが、ここで興味深いのはテレビ東京が「バス旅をやめる」とは一言も言っていないことだ。
むしろ5月の定例会見では、吉次弘志社長が「再開に向けて動き出すことになりました」と明言。さらに『バスvs鉄道乗り継ぎ対決旅』だけではなく、「他の『バス旅シリーズ』の番組におきましても、同様に安全対策を徹底して、制作を再開してまいります」と説明している。なぜ、そこまでして復活させたいのか。最大の理由は、やはり「使い勝手の良さ」だろう。
民放バラエティー番組制作関係者は言う。
「バス旅シリーズは基本的にロケ番組で、セットやスタジオは一切必要ありません。もちろん出演者やスタッフの人数、移動費などはかかりますが、ドラマ、大型音楽番組、スポーツ中継などと比べれば、比較的コストを抑えながら長時間の番組を作ることができる上、視聴率も世帯で7~9%くらいは計算できます。
しかも、テレビ東京が現在重視している配信との相性も悪くありません。旅そのものに明確な終着点があり、途中で何が起きるか分からない。こうした構成は、リアルタイム視聴だけでなく、TVerなどで後から見る場合にも成立しやすい。実際、1月放送の『路線バスで鬼ごっこ!』も放送後にTVerや『ネットもテレ東』で配信されていました」
テレビ離れが著しく、あらゆる経費が上がっている今、コスパが良く、配信でも再生回数が見込める番組を止められるはずがない。ほかにも理由はあるという。
「バス旅には“チャンネルを変えられにくい”という強みもあるのです。例えば、クイズ番組なら問題ごとに区切りがあり、ドラマならCMのタイミングで離脱される可能性がある。しかし、バス旅は“次のバスに乗れるのか”“目的地にたどり着けるのか”“鬼に捕まるのか”といった小さな疑問を連続させることができます。視聴者にとっては、『ここまで見たのだから、結末まで見よう』という番組になりやすいんです。
放送時間もどんどん長くなっています。2007年に番組がスタートした頃、放送時間は2時間程度でしたが、人気の高まりとともにどんどん拡大され、2025年末に放送された『路線バス乗り継ぎの旅』は2夜連続で合計9時間も放送。愛媛県の松山城から福井県の東尋坊まで550キロ以上を4区間に分け、8日間のロケを行う超大型企画でした。
ネタが尽きにくいという強みもあります。バス旅シリーズには、従来型の『ローカル路線バス乗り継ぎ』だけでなく、『バスVS鉄道』『鬼ごっこ』『陣取り』『ぐるり一周』など、複数のフォーマットがあります。『乗り継ぎ』だけでも十分に優秀なコンテンツなのに、様々な派生形を生み出したのは本当にスゴい。もはやバス旅は1つの番組ではなく、シリーズ全体がテレ東の巨大な資産なのです」


















