特別編<2>「八千草さんは身近な聖処女なんです」

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脳内ドラマで登場

碓井 それだけでも驚きでしたが、新作では、八千草さんを生き返らせるために、2つの物語を同時進行させるという離れ業で、こんな手があったのかと驚きました。だって、亡くなったとはいえ、脚本家である菊村栄(石坂浩二)の脳内ドラマだったら、再び登場させても何ら問題はない。

倉本 前作の中で描きましたが、九条摂子には昔、京都に監督だった永遠の恋人がいた。でも、その恋人が戦争で死んでしまい、生涯独り身を通すことになる。そんな彼女の生き方には、僕の心の中にある谷口千吉さん(八千草の亡夫)の存在が影響していたりする。

碓井 人気絶頂期の結婚で親子ほど年が離れていたけど、50年連れ添いましたよね。

倉本 ですから、僕にとって、八千草さんは原節子とは違った形で身近な聖処女なんです。

碓井 なるほど、摂子と節子だ。

倉本 今作を書くに当たって、だいぶ前の作品を見直したんですが、最初に仕事したのは東芝日曜劇場の「おりょう」(1971年、中部日本放送制作)。僕は当時、30代半ばぐらいでしたが、半世紀近くも前のことなのに、その美しさを鮮明に覚えていますね。

碓井 八千草さんは脳内ドラマの中で、新キャストの橋爪功さんと夫婦役を演じていらっしゃいます。この夫婦が軸となって物語が進んでいきます。そして2人の若き日を演じるのが、清野菜名さんと風間俊介さん。このキャスティングも興味深い。

倉本 清野と風間はなかなか面白い演技をするんですよ。清野は前作のオーディションから反応が他の役者と全く違ったんですが、その後も「富良野で勉強させてください」と食らいついてきたりしてね。風間も勉強熱心。この2人は飲んでいても芝居の話でぐいぐい入り込んでくるので、本当に楽しいですね。

(つづく)

(聞き手・碓井広義 文・山田稔)

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