“カップ焼きそばが似合う女”ペヤンヌマキ 創造力の源泉は

公開日: 更新日:

〈カップ焼きそばが似合う女〉だから

 物語の中では追い詰められた主人公が自身の体調不良に敏感に反応するシーンも描かれる。切実な悩みなのだろう。このように自分の経験をもとに骨格を決めてから出演者のイメージをブレンドさせていくペヤンヌ流の作品づくりは、実は、アダルトビデオ(AV)の世界で習得したスタイルだ。

 ペヤングマキ名義で手がけたAV作品は100本以上。演劇にどっぷりつかった早大生だったが、「この世界に行ったら何かつかめるはず」と直感が働き、制作会社「シネマユニット・ガス」に入社した。現場では先輩にダメ出しされ続けたという。

「おまえは高みから人を観察しているだけのむかつくヤツだって、ずっと言われてたんです。でも、それは当たり前のことで、私はこの女優さんのように裸になれないって思った時点で自分の心は離れ、相手にも見透かされるから、いい作品が撮れるわけがない。観察者であり当事者でもあるという目線はAVの現場で培ったものなんです」

 先輩から〈カップ焼きそばが似合う女〉だからと「ペヤングマキ」と命名されるも、商品名がタブーの放送局で仕事するのを機に「ペヤンヌマキ」と使い分けるように。現在は2つの名義で演劇とAVという異なる業界を股にかけ、“二足のわらじ”で活動し続けているが、「仕事が広がれば、3足でも4足でも履きます」と意気込む。本来持っている攻めの姿勢は、最新作にも貫かれている。

(取材・文=小川泰加/日刊ゲンダイ

※「ブス会*」第7回公演は、東京芸術劇場シアターイーストで来週27日から3月10日まで。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋