「ファミリー」という言葉だけでは納得できない契約書問題

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 もちろん書面で契約書を交わさないことで吉本にはさまざまなメリットがあった。実際の売り上げやギャラの配分をブラックボックスにしておくことは、吉本のビジネスモデルの根幹にかかわる部分ともいえる。そのエゲツなさは、所属芸人が頻繁にネタにしている通りだ。

 それで双方がうまく回っているのなら周囲がとやかく言うことではないのだが、今回の騒動では売れっ子から食えない新人まで多くの芸人たちが不満や不信を表明している。現在は6000人の芸人が所属しているというが、その全員と口頭契約の土台となる信頼関係をつくるだけの体制もまだつくれていない。タレントと事務所の関係が社会問題化している時代に、「ファミリー」という言葉だけでは芸人たちは納得しないだろう。

 さらに言えば、現在の吉本は多くの公的な仕事にもかかわっている。世間の理解を得ることも重要なはずだ。その意味で、公取に怒られて方針を転換できたことは、今の吉本にとってはラッキーだったのかもしれない。 =つづく

 (ライター・常松裕明)

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