「タンゴの後で」あの衝撃作でトラウマを抱えた女優マリア・シュナイダーの絶望を描く

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 ベルトルッチ監督はよりインパクトの強い性愛場面を撮るため、脚本にない演出を現場でプラスした。マーロン・ブランドがマリアの肛門にバターを塗ってペニスを挿入するシーンだ。マーロンに組みしかれて泣きじゃくるマリアの声と表情は迫真の演技として日本でも話題になった。それもそのはず、彼女は事前に詳しい撮影内容を聞かされておらず、いきなりアナルセックスに引き込まれたため本物の涙を流したのだ。

 ただ、ポルノ映画のように実際にペニスを挿入したわけではない。うつぶせに寝かされたマリアのジーパンをマーロンが下ろしてその上に覆いかぶさり、肛門挿入を演じただけだった。

 だがマリアは強烈なショックを受け、メディアを通じて被害を訴えた。さらに不幸なことに、宗教的に厳格なイタリア社会ではこのアナルセックス場面は受け入れられず、マリアとマーロン、ベルトルッチ監督の3者は裁判で裁かれることに。その結果、マリアは執行猶予付きの懲役2月の判決を受けてしまった。まさに踏んだり蹴ったりである。

 残酷なことにイタリア国民はマリアを「女の恥さらし」と罵った。ショックが二重三重となり、マリアはトラウマを抱えながら、違法薬物のヘロインに溺れていくのだ。こうした事実は日本でも断片的に報じられたが、この「タンゴの後で」を見ると、彼女の精神状態がいかに絶望的だったかを実感できる。アナマリア・ヴァルトロメイは「バター事件」を含め、まるでマリアが乗り移ったような演技を披露した。

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