『アイ・アム・ザ・ウォルラス』ドラッグで音楽世界が広がると信じてしまったサイケ感覚
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アルバム『マジカル・ミステリー・ツアー』(1967年11月27日)⑦
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■『アイ・アム・ザ・ウォルラス』
シングル『ハロー・グッドバイ』のB面だが、前回書いたようにどんくさいA面よりも、この変てこな曲の方が、ビートルズファンの中で人気が高い(はず)。
さて今回は、これまで安易に使うことを周到に避けてきた言葉「サイケデリック」の話をしたい。
いろいろ難解な訳もありそうだが、あえてベタに訳せば「ドラッグでラリったときの感覚」ぐらいの意味。日本では「サイケ」と略されたのだが、そんなサイケ感覚が、当時のロック界で異常なブームとなったのだ。
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具体的には、精神世界に入った抽象的な歌詞、エコー(ディレイ)の深い音像、長い即興演奏、極彩色のビジュアル感覚などなど。
この『アイ・アム・ザ・ウォルラス』は、ビートルズ(ジョン)によるサイケ系作品の代表例だ。
では、なぜサイケがロック界ではやったのか。それはドラッグでラリったときの感覚によって、今までにない、まったく新しい表現世界が広がると真面目に信じられていたからである。
もっと新しい音楽を、という純粋な思いから、音楽家はこぞってドラッグを服用し、そしてジャニス・ジョプリンなどは、ドラッグの過剰摂取(オーバードーズ)で残念ながら命を落とすことになる。
あれから約60年、音楽界でドラッグはほぼ完全に否定された。「ドラッグなんかで新しい表現世界にたどり着けるわけがない」「ただヘロヘロになって死ぬだけだ」となった。当たり前のことだ。
そしてビートルズのメンバーも、ドラッグにハマったものの、溺れ死んだ者はいなかった。
この『アイ・アム・ザ・ウォルラス』の変てこな面白さも、ジョンが音楽家として、サイケを手段と割り切った結果だと、私は解釈しているのだが、どうだろうか。
■『ブルー・ジェイ・ウェイ』
ジョージによるこの曲は、ある意味『アイ・アム・ザ・ウォルラス』よりも、サイケ感覚にあふれたものである。
テレビ映画『マジカル・ミステリー・ツアー』における、この曲のシーンも、まさに「ザ・サイケ」という感じ。
そういう意味では『アイ・アム~』よりも、サイケがより目的化した曲と言えるかもしれない。
しかしジョージは、当時サイケデリック・ムーブメントの中心地だったサンフランシスコでサイケやヒッピーたちに幻滅を感じていたというから面白いではないか。
そして幻滅したジョージが向かったのが、そう、インドである。
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