恋愛のトラウマから脱却 演劇ワークショップで上書きする
どうしても執着してしまう過去の恋愛を吹っ飛ばすワークショップを副業にしている人がいる。舘そらみさん(35歳)だ。
そらみさんの経歴は独特だ。ODA事業で働く父のもと、小学生までトルコやコスタリカで育つ。国際的な不平等を強く感じ、政治で解決しようと慶応大学法学部政治学科に入学。しかし、政治家たちの自意識の強さに絶望して政治の道を諦め、世界の現状と向き合う覚悟を決めるため、紛争地を回る。しかし、そこで感じたのは、自分の力の限界だった。
「私は自分という存在を飛ばしてしまって他者に憑依してしまうような傾向があります。紛争地から戻ってからは創作したい衝動が抑えられず、23歳で劇団を立ち上げました。30歳くらいまでは脚本でのリアリティーを増すために、意識的に他者の行動原理や思考回路を想像する訓練をしていました。臨月の妊婦の体や精神はどういう感じなのか、ケガをしているスポーツマンはどうなのか。それがメタ認知を扱う恋愛演劇ワークショップにつながります」(そらみさん)
そらみさんの本業は映画やドラマの脚本制作と舞台演出。映画「私たちのハァハァ」やドラマ「来世ではちゃんとします」などを手掛けた。
では、プロが監修する恋愛ワークショップはどんな内容なのか。
「まず、自分の中でトラウマになっている恋愛体験を演劇にしてみます。そこから現実とは違う理想的なバージョンに作り変えていきます」