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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

週5~6日の“酒飲み”は糖尿病リスクが20%低下する

公開日: 更新日:

 お酒の飲み過ぎは間違いなく寿命を縮め、肝臓病やがんなどの病気の原因となります。急性アルコール中毒は命に関わる病気ですし、アルコールの依存症も深刻な社会問題です。このように健康に対する悪影響が広く知られているお酒ですが、その一方で「適度な飲酒は健康に良い」という意見もあります。

 実際、「一部のがんはお酒を飲んでいる人の方が少ない」というようなデータもあります。また、「長生きをする」というような報告もあります。

 それでは、糖尿病とお酒との関係はどうでしょうか? 糖尿病は食べ過ぎや飲み過ぎが原因となる、というイメージがありますから、お酒飲みの人の方が糖尿病にはなりやすいように思えます。しかし、実は「お酒を飲む人の方が糖尿病になりにくい」というデータもあるのです。

 今年の糖尿病治療の専門誌に、アメリカの研究結果が報告されています。それによると、お酒を飲む回数が多いほど、糖尿病になるリスクは低下していました。ほとんどお酒を飲む習慣のない人と比較して、週に5~6日お酒を飲んでいる人は、糖尿病になるリスクが20%以上低下していました。

 もちろんお酒の飲み過ぎは健康に大きな害がありますから、糖尿病を予防するためにお酒を飲む、というのは本末転倒でおすすめはできません。ただ、お酒を飲む習慣のある人の方が、糖尿病になりにくいこと自体は事実であるようです。

【連載】医者も知らない医学の新常識

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