「仮装身分捜査」で初めての検挙…「おとり捜査」との違いは何か?
6月9日、警視庁は、いわゆる「仮装身分捜査」によって、全国初の検挙事例が生まれたと発表しました。「闇バイト」に捜査員が身分を隠して応募し、犯人グループに接触して捜査を行ったようです。
「仮装身分捜査」とは、捜査員が架空の身分を使用して捜査対象者と接触するなどして、情報・証拠の収集を行う捜査手法をいいます。もともと海外では制度化されて認められている手法ですが、日本では、いまだ法整備はされていないものの、今年1月に警察庁が実施要領を策定し、全国に通達しています。それによると特殊詐欺や強盗事件で、「インターネット等を通じて実行者の募集が行われていると認められている犯罪」を検挙するための捜査手法として位置づけられています。
似たような捜査手法としては、「おとり捜査」が挙げられます。「おとり捜査」とは、捜査機関が身分などを隠して対象者に「犯罪を実行するよう働きかけ」、対象者がこれに応じて犯罪を実行したところを検挙する捜査手法です。「おとり捜査」についても、日本では制度化されていないものの、判例上、少なくとも①直接の被害者がいない犯罪の捜査であること②通常の捜査では摘発が困難であること③機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者が対象であることを要件として認められています。