(4)高齢者のサギングアイ症候群…手術で治り、人相が良くなるケースも
「物が二重に見える」と悩んでいる人は多いと思います。もし、60代以上でこの症状があったら、「サギングアイ症候群(SES)」かもしれません。
高齢者の斜視に詳しい後関利明・国際医療福祉大学医学部教授(兼熱海病院眼科部長)はこう解説します。
「サギングアイ症候群とは、加齢性斜視のひとつで、目の周囲にある眼球を支えている靱帯が、加齢で垂れてしまい、眼球の位置の調節がうまくできなくなる状態です。そのため、眼球の位置がずれてしまい斜視になります。症状は物が二重に見える複視などで、高齢者の複視の原因で最も多いのがこのサギングアイ症候群なのです」
後関教授によると、複視以外にもさまざまな症状があり、「ぼやける」「焦点が合わない」「距離がつかみにくい」「乱視のように感じる」などで、中には複視がない例もあるそうです。
白内障や乱視など他の目の病気と症状が重なることもあり、「年だから仕方ない」と諦めている高齢者も多いと思われます。
また、斜視が小角度で、ずれ幅が小さいため、はっきり2つに見えない症例も多く、ぶれて見えたり、ぼやけて見えたりします。さらに遠くを見る時には斜視になるが、近くを見る時には斜視にならないため診断が難しいそうです。