著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

高カリウム血症による不整脈は突然の心停止に陥る危険がある

公開日: 更新日:

 心臓の筋肉である心筋も含めたわれわれの筋肉は、伸びたり縮んだり(弛緩と収縮)を繰り返しています。その一連の流れで、「ナトリウム」と「カリウム」は重要な役割を担っています。

 最初に細胞の外にたくさんあるナトリウムが筋肉細胞の中に一気に流れ込みます(脱分極)。ナトリウムの流入に伴いカリウムもゆっくりと筋肉細胞の中に流れ込み、これがきっかけとなって筋肉が収縮するのです。何らかの理由でここが繰り返されてしまうことを「痙攣」といい、足で起こるといわゆる「足がつる」という状態になります。

 通常、この後は細胞内にたくさんあるカリウムが細胞の外に流れ出ることで筋肉細胞の興奮は収束します。最後に、体内のエネルギーを使って細胞内に残ったナトリウムと細胞外に流れ出たカリウムを交換して、元の状態に戻ります。つまり、カリウムは筋肉の興奮を落ち着かせるという重要な役割があるのです。

 そのため、低カリウム血症、高カリウム血症では、いずれも筋肉に関連する異常が起こりやすくなります。心筋も筋肉なので、不整脈の原因にもなるのです。低カリウム血症で起こる不整脈も重篤なものなので避けなければなりませんが、高カリウム血症の場合は突然心停止に陥ることもあるため、早急な対処が必要となります。

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